過失とは、予見可能性を前提とする予見義務違反及び結果回避可能性を前提とする結果回避義務違反のことを言います。
自動車と人の接触による人身事故を例としてみると、自動車の運転者が、交差点から人が飛び出してくることを予見できれば(予見可能性)、それを予見する義務を怠ったといえます(予見義務違反)。そして、自動車の運転者が、ブレーキを踏むといった回避行動をとっていれば人と衝突しなかった場合(結果回避可能性)、そのような行動を取るべき義務を怠ったといえます(結果回避義務違反)。
したがって、この場合には自動車の運転者に過失が認められることになります。
一方で、そもそも人が飛び出してくることが通常考えられない場所で事故が発生した場合には、そのようなことは予見できないですから、予見可能性・予見義務は認められず、過失は認められないことになります。同様に、仮に、自動車の運転者が回避行動をとっていたとしても衝突を避けられなかったような場合には、結果回避可能性・結果回避義務が認められず、過失が認められないことになります。
そして、過失に関連する制度として、過失相殺(民法418条、722条2項)というものがあります。
過失相殺とは、被害者側に過失があった場合に、被害者の過失を考慮して賠償額を減額する制度です。
例えば、先の交通事故の例をとると、自動車の運転者の過失と歩行者の過失割合が8:2である場合には、歩行者に発生した損害額(1000万円)のうち、800万円を自動車の運転者が賠償することになります。
この過失相殺という制度は、被害者側に過失がある場合には、発生した損害のうち、その分については被害者側が負担する(加害者側が負担しない)のが公平であるという趣旨の下に定められたものです。
なお、過失相殺は、不法行為に基づく損害賠償請求の場合には任意的に、債務不履行に基づく損害賠償請求の場合には必要的に(418条)行われます。
弁護士 大谷部 雅英(新埼玉法律事務所))は、交通事故、医療過誤、契約不履行などといった損害賠償に関する業務を取り扱っております。さいたま市、川越市、越谷市などの埼玉県、東京都を中心に、関東全域の皆様からのご相談を承っておりますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。豊富な知識と経験からご相談者様に最適な解決方法を提案させていただきます。
過失
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